年金を中心として老後のライフプラン
年金とは
日本の平均寿命は世界最長水準にありますが、反面、生まれてくる子の数が少ないため、少子高齢化が急激に進んでいます。
少子高齢化の進行は公的年金の存在そのものを揺るがす深刻な問題となっており、社会経済と調和した、持続可能な年金制度を構築し、国民の信頼を確保することが急務の課題となっています。
そのため、平成16年に行われた年金制度改正では、給付と負担のあり方を抜本的に見直して、将来の保険料の高騰を極力抑制し、世代間、世代内の公平性を確保することが目指されていました。
人生100年時代となった令和元年において、日本の年金制度は大きく変わろうとしています。
社会保険労務士として基礎的な年金知識を含めて、情報発信していきたいと思っています。
定年後の生活における継続的な収入は、多くの場合年金が柱になります。
私たちは、定年後の家庭経済の安定を支えてくれる公的年金制度について、今後よりよく知っておく必要があります。
現在の公的年金制度は、世代間扶養という概念を取り入れており、働く人が若いうちから保険料を出し合い、これに事業主も同額の保険料を負担して、長い老後や、障害、死亡などの不時の時に、生活の安定を図るのが公的年金制度の目的です。
ライフプランをつくろう
どんな生活を望みますか
日本人の65歳の平均余命は、男性が19.70年、女性が24.50年(図1「平成30年簡易生命表」より)。
つまり私たちには19~24年超の老後の生活があるということになります。
そして今、その長くなった定年後に対応した、多様な生き方が求められています。
だれもが、定年後を楽しくいきいきと暮らしたいと思っていることでしょう。
言い換えれば、「充実した生きがいのある暮らし」ということかもしれません。
「生きがい」というと難しくなってしまいますが、だれもが生きていてよかったといえる人生を送りたいのが本音でしょう。
定年後はさまざまな面で生活環境に大きな変化がもたらされます。
たとえば就業しない場合は自分で使える時間が大幅に増えます。
この自由な時間の過ごし方がわからないことで、とまどいを覚えてしまう人も多いようです。
つまり今、定年という生活環境の変化のなかで、定年後の長い時間をどのように生活していくかが、私たちにとって大きな課題になっているといえます。
豊かでいきいきとした人生はライフプランから
「老後」を意識するのは、一般に子供が経済的に独立する50歳を過ぎてからかもしれません。
早いうちから将来のライフプランを立てられれば理想です。
この際、現在の自分や生活の基盤を見直してみてください。
定年後の長い期間を、充実した生きがいのあるものにしていくにはどうしたらよいのか。
そのことを今後真剣に考えていく必要があります。「人生の集大成」に向けた準備=ライフプランが必要だということです。
定年後の人生を幸せなものにするかしないかは、あなたの考え方次第なのです。
定年後の5つの変化とは
定年前と定年後では、さまざまな面で変化があります。それを整理すると次の5つになります。
●生活リズムの変化
仕事と家庭の2つでつくられていた生活のリズムが変化します。
●環境や立場の変化
名刺や肩書が変わり、職場から地域社会への適応が求められます。
●家庭内での役割の変化
家庭内における夫と妻の役割分担が変化します。
●経済感覚の変化
収入のサイクルが変わるので、消費サイクルも変化します。
●体力や運動能力の変化
加齢により、次第に体力や運動能力が低下し、行動範囲が変化するとともに運動能力にも変化が現れます。
この5つの変化に、果たしてうまく対応できるだろうかという気持ちが「不安」を招いているのです。
まず、不安の原因を知ること、そしてその解決策や、解決の方法を考えるのがライフプランです。
これまでの生活を振り返り、定年を境に何がどのように変化するかを事前にチェックすることから始めてみましょう。